【2026年最新】「在職老齢年金」見直し&遺族年金改正で何が変わる?40代から知っておくべき年金制度改正と浮き彫りになる4つの問題点

2026年の年金制度改正と在職老齢年金見直しのイメージ図、40代の将来設計 資産形成・投資
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はじめに:40代から他人事ではない「年金大改革」がスタート!

「年金の話なんて、まだ60代や70代の先の話でしょ?」

我が家でもつい最近までそう思っていました。でも2025年6月に成立した年金制度改正法によって、2026年4月以降、私たちの老後プランや家族の保障を大きく揺るがす段階的な制度改正が実施されることになります。

今回の改正は「働く高齢者の応援」や「多様な生き方への対応」を掲げていますが、その裏側では現役世代の負担増や将来の給付水準低下といった課題も同時に浮き彫りになっています。

一次情報をベースに改正の重要ポイントを整理しながら、私たちが直面するリアルなリスクと問題点まで包み隠さず解説していきます。

2026年以降の年金制度改正、押さえておきたい4つの変更点

まずは今回の改正で特に私たちの生活に影響を与えるポイントから見ていきましょう。

「在職老齢年金」、基準額は65万円まで引き上げに

これまで、65歳以上になっても会社員として働き一定以上の収入があると、老齢厚生年金の一部または全部がカットされる仕組み(在職老齢年金)がありました。この仕組みが高齢者の就労意欲を削ぐ原因になっていたため、年金がカットされ始める基準額(支給停止調整額)が引き上げられます。

厚生労働省によると、改正後の支給停止基準額は法律成立時(2025年6月)の時点では62万円とされていましたが、2026年4月からは65万円になることが確定しています。これまでの基準額は51万円(2025年度)でしたから、一気に14万円も引き上がる計算です。

具体的にどう変わるのか、厚労省が示している例で見てみましょう。賃金(ボーナス含む年収の1/12)45万円、厚生年金10万円の方の場合、現行では賃金と厚生年金の合計55万円が基準額50万円を超えるため、超過分5万円の半額にあたる2万5千円が支給停止されていました。見直し後は基準額が62万円となるため、この2万5千円もそのまま支給されることになります。年間で見れば30万円ほど受給額が増える方も出てくるでしょう。

ポイントは、カットされるのはあくまで「老齢厚生年金」のみという点です。老齢基礎年金(国民年金部分)は収入の多寡にかかわらず全額支給されるので、誤解しないようにしておきたいところです。

「年金が減るから働く時間を調整する」という、いわゆる就労抑制の問題がかなり緩和される改正と言えそうです。60代以降も現役並みに働きたいと考えている方にとっては、追い風になる変更です。

「遺族厚生年金」の改正は2028年4月施行。今すぐではないけれど無視できない

男女共同参画や共働きの定着に合わせて、より公平な仕組みへとシフトするのが遺族厚生年金の改正です。これまで「夫を亡くした妻」に比べて条件が厳しかった「妻を亡くした夫」の受け取り条件が統一される一方、子どものいない配偶者への給付に期間制限(有期給付化)が設けられます。

ここで誤解しやすいのが施行タイミングです。遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行予定で、今すぐ始まるわけではありません。また、すべての人が影響を受けるわけでもなく、既に遺族厚生年金を受給している方や、60歳以降に受給権が発生する方、18歳年度末までの子どもを養育している間は今回の見直しの影響を受けません。

具体的には、女性の場合、施行直後に原則5年間の有期給付の対象となるのは18歳年度末までの子どもがいない、2028年度末時点で40歳未満の方で、新たに対象となる30代の女性は推計で年間約250人とされています。一方男性の場合は、子どものいない60歳未満の方が新たに5年間の有期給付の対象となり、こちらは推計で年間約1万6千人と女性よりかなり多い見込みです。

これまで「子のいない夫は55歳未満だと遺族厚生年金を受け取れない」という男女差があった部分が解消される代わりに、終身でもらえていた一部の女性にとっては有期化という形になります。ただし悪いことばかりではなく、有期給付の額には新たに加算が上乗せされ、現在の遺族厚生年金額の約1.3倍になります。さらに5年間の有期給付が終了した後も、障害状態にある方や収入が十分でない方は引き続き増額された遺族厚生年金を受給できる継続給付の仕組みが用意されています。

つまり「いきなり打ち切られる」わけではなく、生活再建のための期間限定の手厚い支援+条件次第での継続給付、という設計です。40代の私たちにとっては、まだ少し先の話とはいえ、自分や配偶者がどの世代区分に当たるのかを今のうちに把握しておく価値はあります。

「離婚時年金分割」の請求期限、2026年4月から5年に延長

婚姻期間中の厚生年金記録を元夫婦で分割する手続きの請求期限についても、見直しが入ります。

分割請求の期限は、原則として離婚等をした日の翌日から起算して5年以内に延長されます(令和8年4月1日前に離婚等をした場合は従来通り2年以内)。つまり2026年4月1日以降に離婚した場合は5年、それより前に離婚していた場合は2年が適用されるという切り分けです。

この延長の背景には民法における離婚時の財産分与請求権の除斥期間が現行の2年から5年に伸長されることに伴い、離婚時の年金分割の請求期限についても合わせて延長するという経緯があります。離婚直後の混乱で年金分割の手続きが漏れてしまうトラブルを防ぐための救済措置と言えるでしょう。

短時間労働者(パート・アルバイト)への厚生年金適用拡大は段階的に進む

短時間労働者への社会保険適用拡大も大きな改正点です。これまでは「企業の従業員数」や「月額賃金」といった要件をクリアした場合に加入対象となっていましたが、今回はその要件自体が大きく変わります。

短時間労働者の適用要件のうち、賃金要件(月8.8万円以上などの基準)は撤廃され、企業規模要件についても令和9年(2027年)10月1日から令和17年(2035年)10月1日までの間に段階的に撤廃されることが決まっています。

つまり「うちは従業員数が少ないから対象外」という前提が、長い時間をかけてではありますが、最終的には通用しなくなる方向です。月額収入などの要件を満たせば、より小規模な会社で働く短時間労働者でも社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が必須になるケースが増えていくことになります。

綺麗事だけではない!浮き彫りになった4つの大きな問題点

今回の法改正や近年の年金運用を巡っては、現役世代やこれから老後を迎える世代にとって見過ごせない懸念や批判の声も上がっています。

1. 手取りの減少と「年金の壁」問題

短時間労働者への厚生年金適用拡大が進められていますが、加入によって毎月の社会保険料が給与から天引きされるため、「一時的な手取り額が減ってしまう」という不満の声が働く現場から上がっています。

また、一定の収入を超えると保険料の支払い義務が生じるため、手取りを減らさないようにあえて就業時間をセーブする「年金の壁」問題が依然として残っており、根本的な労働力不足の解決にはつながっていないという指摘もあります。

2. 基礎年金(国民年金)の給付水準低下リスク

深刻な少子高齢化と現役世代の減少により、将来私たちが受け取れる基礎年金の価値(給付水準)が、現在よりも実質的に低下するリスクは依然として高い状況です。

景気や賃金の動向に合わせて給付水準を自動調整する「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されていますが、長期的な財政悪化に対して十分に機能していない、あるいは仕組みが複雑すぎて国民の理解を得られていないという限界が指摘されています。なお今回の改正では、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合に、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドを同時に終了させる措置を講じる旨の規定が国会審議の中で追加されており、こちらは2029年の次回財政検証の結果を踏まえて実施が判断される予定です。動きはあるものの、実際にどこまで効果が出るかは今後の検証次第というのが正直なところでしょう。

3. 高所得者(現役世代)の負担増

実質賃金の上昇に伴い、厚生年金保険料の計算に使われる「標準報酬月額の上限」が段階的に引き上げられています。これにより中高所得層の現役世代の保険料負担がダイレクトに増加しており、「取れるところから取る」姿勢に対して世代間・所得間の公平性のあり方を疑問視する議論が続いています。

4. 制度の複雑化と多様な家族形態への遅れ

遺族年金の見直しなどが行われているものの、現代の多様化する家族形態(生涯未婚の単身者、事実婚、ステップファミリーなど)に制度のアップデートが追いついていません。受給資格の有無や金額の算出方法がパッチワークのように修正された結果、「一般の国民には複雑すぎて自分の将来の受給額が分かりにくい」という課題が残されたままです。

40代の私たちが今から準備しておくべきこと

国にまかせきりではリスクがある時代だからこそ、40代の今から打てる対策を講じる必要があります。

  1. 手取り減少に負けない「稼ぐ力」の維持とキャリア形成 在職老齢年金の緩和を味方につけ、60代以降も高い単価で働けるスキルを身につけておくことが最大の防衛策になります。基準額が65万円まで上がったことで、これまでよりも「稼ぎながら年金も受け取る」という選択肢の自由度が広がっています。
  2. iDeCoや新NISAによる「じぶん年金」の確立 基礎年金の給付水準低下リスクを見越し、公的年金に依存しない私的年金・資産形成を1日でも早くスタートさせ、老後の資金源を分散させておきましょう。
  3. 万が一の保障(生命保険・遺族年金)の再計算 制度が複雑化しているからこそ、ねんきん定期便などを活用して「今の家族構成で万が一の時にいくら入るのか」を可視化し、民間の保険の過不足をチェックすることが大切です。特に子どものいない世帯は、2028年4月の遺族厚生年金改正によって受け取り方が変わる可能性があるため、自分がどの年齢層に当たるのか早めに把握しておきたいところです。
  4. 離婚を考えている場合は年金分割の手続き期限を確認 2026年4月以降の離婚であれば請求期限が5年に延長されますが、それ以前の離婚は2年のままです。該当する方は念のため期限を確認しておきましょう。

制度を「知る」ための一冊、「動く」ための一冊

ここまで解説した内容をもう少し腰を据えて理解したい、あるいは実際にじぶん年金づくりを始めたいという方には、次の2冊が入り口として分かりやすいです。

一つ目は、年金制度の本質を解説した一冊。在職老齢年金や遺族年金など2026年の最新の論点も踏まえて加筆された改訂版で、繰り上げ・繰り下げ受給の考え方やiDeCoの活用法まで一通り押さえられます。「年金は積立金ではなく長生きに備える保険」という根本的な考え方を整理しておくと、ニュースで改正の話題が出ても振り回されずに受け止められるようになります。

二つ目は、新NISAとiDeCoを実際に始める際の入門書。図解とマンガで制度の仕組みから商品選び、年代別の活用法までまとめてあるので、「じぶん年金」を今日から動かしたい人に向いています。

※リンク先の価格・在庫状況は変動するため、購入前に最新情報をご確認ください。

まとめ:リスクを正しく把握し、賢くライフプランを立てよう

2026年4月から段階的に始まる年金制度改正は、働く高齢者を後押しする一面がある一方で、現役世代への負担増と将来の給付目減りという厳しい現実も内包しています。

表面的なメリットだけを伝える情報に惑わされず、浮き彫りになっている問題点(手取りの壁、給付低下、負担増)を正しく「リスク」として認識することが、40代の賢いライフプランニングの第一歩です。

国の制度の動向をしっかり注視しながら、新NISAやiDeCoなども組み合わせた「自分主導の資産防衛」を始めていきましょう。


※本記事の解説は2026年6月時点の情報に基づいています。実際の受給要件や保険料率は個人の状況によって異なりますので、将来の試算等は日本年金機構の「ねんきんネット」等で最新の情報をご確認ください。

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