【第1回】AIブームは本当に続く?半導体だけでは語れないAIの仕組み

AIサーバーを支えるGPU・CPU・DRAM・NANDの仕組みを解説するイメージ図 AI・テクノロジー
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※本記事は、投資判断や個別銘柄の推奨を目的としたものではありません。株価や業績に関する情報は執筆時点のものであり、状況は日々変化します。投資の最終判断は、必ずご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

ChatGPTを毎日使いながら、ふと思ったこと

最近、仕事でもプライベートでもChatGPTのようなAIサービスを使う機会が増えました。

文章の下書きを頼んだり、ちょっとした調べものをしたり。もはや「AIなしの生活」が想像しにくいくらいです。

そんな中で、ニュースを見ていると「AIブームはバブルなのでは」という声と、「いや、これはまだ序章に過ぎない」という声の両方が耳に入ってきます。

私自身、投資の勉強をする中で半導体関連のニュースに触れる機会が増えました。そのせいか、最初は「AI=半導体(GPU)の話」というイメージを持っていました。

けれど調べていくうちに、それだけではないと分かってきました。AIを支えているのは、GPUだけではありません。データセンター、メモリ、電力インフラなど、いくつもの要素が組み合わさった大きな仕組みなのです。

そこで今回から全4回のシリーズで、AI初心者の視点から「AIを支える仕組み」を整理していきたいと思います。

まずは全体図から ― 今日理解する4つのパーツ

いきなり細かい話に入る前に、全体像から見ていきましょう。

私たちがChatGPTに質問を送ると、その裏側では「AIサーバー」という専用のコンピューターが答えを作っています。

そのAIサーバーの中には、主に4つのパーツが入っています。

今日はこの4つのパーツが「それぞれ何をしているのか」「なぜAIブームで注目されているのか」を理解していただければと思います。

AIブームの背景 ― 本当に一時的な流行なのか

まず気になるのが「このAIブーム、本当に続くのか」という点だと思います。私もさすがに過熱しすぎではと感じてしました。

調べてみると、世界の半導体市場は伸び続けているようです。2025年の市場規模は前年比22%増の7,720億ドルに達し、2026年にはさらに26%拡大し、9,750億ドルに迫ると予測されています。背景にあるのは、生成AIが本格的に実用段階へ移ったことだとされています。

また、GoogleやMicrosoft、Amazon、Metaといった巨大IT企業(いわゆる「ハイパースケーラー」)の設備投資も急拡大しています。巨大IT企業によるデータセンターへの設備投資は、2025年第3四半期に前年同期比で59%増加したと報じられています。

数字だけを見ると、AIブームは一過性の流行ではなさそうです。むしろ、産業構造そのものを変えていく大きな流れの途中にあるように感じられます。

一方で、こうした急拡大には副作用もあるようです。

現在はAI向け半導体へ、生産能力が集中しています。

その結果、スマホやパソコン向けの半導体にも影響が出始めていると言われていますAI向け半導体へのリソース集中が、既存の民生機器向け供給網に影響を与え始めている。

さらに、2026年に入ってからは慎重な見方も強まってきているようです。「AI投資は本当に採算が取れるのか」という視点です。

AIブームは「期待」から「収益化(マネタイズ)」の現実を問われる大きな転換点を迎えていると分析する専門家もいます。ブームの「量」だけでなく「質」が問われる段階に入ってきていると、私も感じています。

つまり、AIブームが「続くかどうか」という問いに対しては、

・インフラ投資そのものは旺盛に続いている

・ただし収益性や電力といった課題も同時に浮上している

という両面を押さえておくのが、実態に近いのではないかと思います。

AIサーバーとは何か ― ChatGPTの裏側にある「巨大な工場」

AIブームを支えている中心的な存在が「AIサーバー」です。

私たちがChatGPTに質問を入力すると、その裏側では専用のサーバーが猛烈な速さで計算をしています。そして答えを組み立てています。

普段使っているノートパソコンとは比べ物になりません。大量の部品を積んだ、いわば「計算専用の巨大な工場」のようなイメージです。

先ほどの図にあった4つのパーツを、もう少し詳しく見ていきましょう。

  • GPU(画像処理半導体):もともとはゲームの画像処理用に発達した部品です。大量の計算を同時並行でこなせる特性が、生成AIの学習・推論に非常に適しています。AIの「頭脳」的な役割を担っています。
  • CPU:サーバー全体の司令塔です。GPUに仕事を割り振ったり、全体の処理の流れを管理したりする役割です。
  • DRAM(メモリ):計算中のデータを一時的に置いておく「作業スペース」のような存在です。
  • NAND(ストレージ・SSD):計算が終わったデータや、学習に使う大量のデータを長期的に保存しておく「倉庫」のような存在です。

たとえるなら、こんなイメージでしょうか。

CPUが「現場監督」、GPUが「作業員たち」、DRAMが「作業机」、NANDが「倉庫」。

ChatGPTに質問を送ると、まず倉庫(NAND)から必要なデータが取り出されます。次に、そのデータが作業机(DRAM)に運ばれます。そして作業員(GPU)が、現場監督(CPU)の指示のもとで計算をします。最後に、答えを組み立てて私たちの画面に届けてくれる――そんなイメージです。

GPU・CPU・DRAM・NAND、それぞれの役割をもう少し詳しく

AIブームというと「GPU(エヌビディアなど)」の話題が中心になりがちです。

けれど実際には、メモリやストレージの性能・容量が追いついていなければ、GPUの計算力を十分に活かすことができません。

たとえば、生成AIが文章や画像を作り出す際には、事前に学習した膨大なデータを高速に読み書きする必要があるとされています。生成AIの学習・推論には大量のデータを高速に読み書きできるストレージが必須で、AIデータセンター用の高速SSDの需要が爆発し、NAND価格が上昇しているという指摘もあります。GPUだけでなく、メモリやストレージ側の需要も急速に高まっているようです。

実際、2024年ごろまでのAIは「高速に計算すること」が主役だったといわれています。GPUに直結する高性能メモリ(HBM)が注目の中心でした。

※HBMについては、第3回で詳しく解説します。

しかし生成AIが本格的に普及するにつれて、データを保存しておくNAND(SSD)側の重要性も急速に高まってきているようです。2024年頃までのAIは、どちらかというと「高速に計算する」ことが主役で、HBMがメインの半導体でした。生成AIの普及でこのNANDの需要が爆発しました。

なるほど、こう繋がっていたのか

ここまでの内容を、実際のデータの流れとして整理し直してみると、こうなります。

NAND(倉庫から必要なデータを取り出す)
 ↓
DRAM(作業机に一時的に広げる)
 ↓
GPU(作業員が猛スピードで計算する)
 ↓
回答(ChatGPTの画面に表示される)

つまり、AIブームは「GPUだけの話」ではありません。GPU・CPU・DRAM・NANDという複数の部品がバランスよく揃って、初めて成立している仕組みなのです。この点が、第1回でいちばんお伝えしたかったポイントです。

キオクシアが注目される理由 ― NAND専業メーカーへの追い風

ここからは少し株式投資寄りの話にもなります。あくまで「なぜ話題になっているのか」を整理する内容として読んでいただければと思います(個別銘柄への投資を推奨するものではありません)。

半導体関連の投資家の間で、ここ最近特に注目度が高まっているのが「キオクシアホールディングス」です。旧東芝メモリを前身とし、NAND型フラッシュメモリを専業とする世界有数のメーカーとされています。

注目されている背景には、主に次のような点があるようです。

  • 生成AIの普及によってデータセンター向けのNAND需要が急拡大し、供給が追いついていないとされる点。経営陣が「2026年のNAND生産分はすでに全量売り切れ」と明言したとも報じられていますキオクシアの経営陣は「2026年のNAND生産分はすでに全量売り切れ」だと明言しており、供給不足は当面続くと考えられます。
  • 競合各社がHBMに注力する中、NAND専業のキオクシアが価格上昇の恩恵を受けやすい立場にあるとされる点競合がHBMに注力する中、NAND専業のキオクシアが価格上昇の恩恵をフルに享受している。
  • 業績面でも、2026年3月期はSSD・ストレージ部門の売上が前期から大きく伸びたと報じられています2026年3月期では、SSD&ストレージ部門の売上が前期から37.5%増の1兆3,626億円を記録しました。市場からの評価が急速に高まった時期があったようです。

ただし、こうした急騰には振れ幅の大きさというリスクも伴っているようです。

2026年7月には、大手IT企業の設備投資戦略に関する報道をきっかけに、半導体株全般が大きく調整する場面もあったと報じられています。2026年7月に入り、キオクシア株は一転して急落しました。米ブルームバーグ通信がMeta Platformsが余剰となったAI計算資源を外部顧客向けに提供する新事業「Meta Compute」の立ち上げを計画していると報じたことが直接のきっかけです。

実需そのものが崩れたわけではなく、短期的な調整という見方もあります。一方で、バリュエーション面での警戒感も指摘されています。通期純利益に対し、実績PERは約75倍という半導体株としては歴史的に高い水準にあります。値動きの荒さは、今後も意識しておく必要がありそうです。

私自身は「AIインフラの需要が根強い」という大きな流れと、「個別株としては値動きが非常に大きい」という現実の両方を踏まえながら、慎重に情報を追っていきたいと感じています。半導体関連株はニュース一つで大きく動くことがあるため、投資を検討される場合は、必ずご自身で最新の情報を確認していただければと思います。

次回予告

ここまで、AIを支える半導体の全体像を見てきました。

実は、AI最大の課題はGPU不足ではありません。

「電力」です。

次回・第2回は「AIと電力?」というテーマで書いていきます。

一見関係なさそうな2つが、実は深く結びついている理由を解説していきます。

私自身、電力とAIがここまで密接に関わっているとは思っていなかったので、調べながら驚くことが多かったテーマです。次回もぜひお付き合いいただければ嬉しいです。


※本記事に記載の株価・業績・市場動向に関する情報は、公開情報をもとに執筆時点で確認したものです。今後の状況によって変わる可能性がありますので、あくまで参考情報としてご覧いただき、投資に関する最終判断はご自身の責任において行ってください。


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